理学療法士 吉尾雅春さん
NHKためしてガッテン! 2019年5月22日(水)放送について
NHKためしてガッテン! 2019年5月22日(水)放送の「血圧・虫刺され・リハビリ 医療を変えたスゴイ人スペシャルの再放送を偶然見ました。内容は非常に興味深い内容でしたので、皆さんとシェアさせていただきました。
医学常識を覆した理学療法士、吉尾雅春さんってどんな人?
一生車椅子と思われたはずの脳卒中の患者の多くを、次々と歩かせることに成功している理学療法士の吉尾雅春さんにスポットが当てられていました。
自らリハビリ経験をもとに、ゆるぎない信念のことに、現代医療の常識を覆して確立した新たなリハビリ法を紹介していました。
今回はその番組の内容を分かりやすくご紹介していきます。
非常識のリハビリって何?!
現在、脳卒中の後遺症の麻痺の方へのリハビリは主に麻痺側だけを動かす施術が常識とされています。
ところが吉尾さんは常識とは真逆の麻痺足でない健康な側(=健側)を主にリハビリすることで、麻痺側の手や足を回復させるという内容でした。
えっ、!!
それって、本当なの?!
一体、どういうことなのでしょうか…?
通常のリハビリは麻痺している側が中心
麻痺していない足を動かすことでリハビリの効果が変わる
吉尾さんの非常識のリハビリのメカニズムの説明
私たちが右足を動かす時、その司令は左側の脳から発せられます。
逆に左足を動かす時の司令は右脳から発せられます。
このように私たちの脳から発せられた司令は、神経を通って反対側の手足を動かします。
もし脳に障害を受けた場合、障害を受けた脳内のエリアの反対側の手足に麻痺が生じます。
例えば、脳卒中で障害を受けた部分が右側の脳であれば、反対側の左側に麻痺が生じることになります。
また左側に障害を受けたら、反対側の右側に麻痺が生じることになります。
通常のリハビリでは、麻痺側を良くしたいと思って、麻痺側の足を中心に動かします。
じつは脳から繋がる神経は麻痺のある反対側だけではなく、わずかながら健康な同側にも伸びていて、コントロールしています。
そこでまず麻痺していない健康な側を動かすことでそのわずかに伸びている神経を活性化します。
すると麻痺側の神経を活性化させることになりリハビリが行いやすくなり、より早い改善が可能につながるというメカニズムになっているということなんですね。
ここは大切なポイントですので、実際に放送された画像でもう一度、説明して行きますね。
①脳が麻痺すると反対側が麻痺する
②通常のリハビリは麻痺側をよくしたいと思って頑張るから結果が出にくい
③じつは同じ側にも少し神経が伸びている
④まず麻痺していない側を動かし神経を改善させる
…というわけです。
お分りいただけたでしょうか?
ということで、今度はなぜ吉尾さんがこのような非常識なリハビリを行うことに至ったのか?
そのきっかけになったエピソードをお伝えしていきます。
吉尾さんが非常識なリハビリを行うようになったきっかけとか?
じつは吉尾さんが、この考え方に及んだきっかけがあります。過去に1年半もリハビリを続けても一向に改善しなかった女性からリハビリの要請を受けた時のことでした。
番組内では「正直、一年半もリハビリをやって改善しなかったら、改善は無理だ」と思っていたそうです。
しかし、あらゆるチャレンジと試行錯誤でリハビリされ、劇的に歩行が改善したことがヒントになり、この考え方に及んだということでした。
常識にとらわれないことの大切さを知らされた事実だと思います。
ここで、今回知り得た重要なポイントを整理していきたいと思います。
一年半リハビリを受けて良くならなかったが、吉尾先生のリハビリで改善した実際の女性
健側のリハビリこそが重要
麻痺を改善させるために必要なことは健側もしっかりと動かすということです。
健側を中心にリハビリをする考え方はまだ主流ではないため、なかなか表には出てきませんが、私たち風の谷の治療院では数年前からこれらと同じ考え方を学び、施術に取り入れています。
それが弊社ホームページでも紹介している「起立着席訓練」と「PNF訓練」です。
まず「起立着席訓練」とは椅子やベッドから座った状態から立ち上がる、いわゆるスクワット運動のような運動です。
「なんだ、そんなことくらいなら知ってるよ」
と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、じつはこれこそが先ほど吉尾さんがおっしゃっていた理論と同じです。
起立着席訓練とは
起立着席訓練の素晴らしいところは麻痺側と健康な側を同時に鍛えられる点です。
これは健康な側を動かした刺激が、麻痺側にもフィードバックされるので、麻痺側の改善にもつながることを意味します。
また番組の説明にもありましたが、麻痺側だけのリハビリ訓練は効果が出にくく、効果が出にくいために、リハビリをする方も挫折する方も少なくありません。
一方、健側を鍛えることは麻痺側を鍛えるよりもハードルは低いため、比較的早く効果が出やすいのです。
車椅子の移乗や、歩行などの生活動作(ADL)を向上させる目的だと、健側を少し鍛えるだけで生活動作は簡単に向上させることができます。
それでいて麻痺側の神経系もしっかりと訓練されているので、高いリハビリ効果が期待できるというわけです。
PNF訓練とは
PNFとは筋肉や骨や関節などに存在する感覚受容器を刺激して、筋肉の反応を高めることで、動きにくかったものを、動きやすくすることを目的とした施術です。
現在ではリハビリで医療分野だけでなく、多くのプロスポーツ分野など幅広い分野で扱われていますが、もともとは小児麻痺の治療としてアメリカで開発された治療技術です。
これも吉尾先生と同じ考えの理論で、身体に麻痺がある方に対しては、麻痺のない健康な側を用いることで、麻痺のある側によい影響を与えていきます。例えば、健康な側の右手を左右に動かすことで、麻痺のある左側にぐっと体重を乗せやすくなります。
麻痺のない健康な側を動かすことで、麻痺のある側に良い影響を与えていくという考え方は海外では一般的に普及しているところもありましたが、日本では主流ではありませんでした。
当院もこの考え方の重要性に日々の臨床の実戦と検証から、取り入れて施術に組み込んでいます。
リハビリ量が重要
残念なことに、吉尾先生のような優秀なリハビリ専門のリハビリ機関を医療保険で受診できるのは脳梗塞などの疾患を発症してから大体半年程度です。
その後は退院してからの長い期間を自宅で過ごさなければなりません。
退院後、当院に問い合わせい頂く方々の中で、口を揃えておっしゃるのが、
「もっとリハビリを続けたかった…」
という言葉です。
発症後、半年間は回復しやすいデータがあることから、その間は医療保険を使って集中的にリハビリをして少しでも社会復帰を目指してもらうような制度があります。
しかし、やっと体が動くようになって希望が持てるようになってきた頃には、そのリハビリは打ち切られ、その後は介護保険のお世話になるか、余裕のある方は自費で高額のリハビリを選ぶか?の選択に限られてしまいます。
吉尾先生の事例にもありましたが、実際は発症後、半年移行にリハビリを行なっても結果が出ているケースがあるにも関わらず、リハビリを継続できなくなるのは残念なことです。
リハビリ量とは
す。ここでリハビリ量についての説明をしていきます。
我々が最も大切に考えているのが、「リハビリ量」についてです。
リハビリ量とは、リハビリを行った量です。
退院後、明らかに明確なのが、この「リハビリ量」の絶対的な減少です。
退院後、また
「また腕が固くなった…」
「立ち上がりが不安定になってきた…」
「機能が落ちた…」
というのは、優秀な理学療法士の訓練が受けられなくなったということもありますが、単純にリハビリ量が激減するといった問題が大きいとと思います。
例えば集中したリハビリを受けられていた間は1日60分〜120分のリハビリを週5回受けられていたリハビリを受けられていたとします。
それが退院後のリハビリ量が、例えばデイサービスのリハビリが1日20分を週2回だけとそれだけでリハビリ量は十分の1以上に激減することになります。
当然、機能の回復への期待が減少するどころか、機能低下も招くことも考えられます。
自ら行えるリハビリが重要
ここで、大切な考え方が、十分なリハビリ量を確保するためには、リハビリは他人に依存するのではなく、自らが行うという考えです。
じつは効果的なリハビリというのは自宅で一人でできるものがいくつも存在します。
それが先ほどから紹介している「起立着席訓練」であり「PNF訓練」です。
これらは一人で自宅で行えるので、簡単に行えて、リハビリ量も自分でコントロールできるので、効果が出やすいというのが最大の利点です。
先ほどから紹介しています吉尾先生の理論をそのまま取り入れた考え方の訓練をセルフでやって頂く内容となっています。
しかしながら、
辛くて、しんどいリハビリは一人では継続できない
…というのが現状ではないでしょうか?
そこで、当院では施術スタッフがある時は施術者として、またある時はトレーナーとして皆さんの自宅でも一人リハビリのコーチング行なっています。
ご興味のある方は当院までいつでもお問い合わせください。
ホームページのメールフォームにて質問をお受けしております。
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